ありがたいはずの保育士「過去最大の処遇改善」に、なぜ保育現場は喜べないのか?
ありがたいはずの保育士「過去最大の処遇改善」は、実は大きな矛盾も孕んでいることを解説します。
駒崎弘樹
2024.11.24
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三原じゅん子こども政策担当大臣は政府の経済対策に保育士などの処遇改善を盛り込むことを明らかにしました。
三原大臣は11月22日、閣議後の会見で保育士等の人件費について、今年度の引き上げ率を10.7%とする方針を発表しました。この引き上げ率は「過去最大」のものとなります。
保育士の平均年収は約370万円(*1)です。一方、国税庁の令和元年民間給与実態統計調査によると、日本の全産業の平均給与は426万円となっています。したがって、保育士の年収は日本の平均より約56万円低いことがわかります。月に直すと5万円弱くらいですね。
子育て世帯は、子育ての大変さ、保育園のありがたさ、骨身に染みていらっしゃるのではないでしょうか。毎日子どもたちをみてくれている保育士さんたちの処遇が平均より低いことは本当に問題で、この是正に政府が取り組んでくれることは、基本的には素晴らしいことです。
しかし、この処遇改善には大きな落とし穴があるのです。